プレゼント
だんだん私のアパート付近に差し掛かった時。
「美樹……?」
かけられた声にビクッとなった。


声の方に顔を向けると。
「裕也……。」


そこには、裕也の姿。
仕事帰りなのかデートの帰りなのかは分からないけど、隣には綺麗な女の人。


あぁ、前に一緒にいたのを見かけたアノ人だ……。


「ははっ、急にあんなライン来たから驚いたけど、お前もヨロシクやってたんだな。お互い様って事で良かったわ。」


吐き捨てるように言われた言葉に、私は呆然とした。


お互い様って……何?


少なくとも私は、裕也の事が好きだったのに……。


「もう会うこともないと思うけど。じゃあな!」
の捨てゼリフと共に、彼女と歩いていなくなった裕也。


私、なんで、あんな人と付き合ってたんだろう……?


なんで、好きだったんだろう?


ううん、始めはあ~じゃなかったハズ……。


本当に?


もう、ぐちゃぐちゃで、分からない……。


じわり……と涙が滲んできた時に。


ギュッ……と、抱きしめられた。


「偉かったね……、頑張ってたね……。」
その言葉とともに、私の瞳から、涙がこぼれおちた。


「うっ……、ふっ……。」
止まらない涙が、俊彰さんのブルゾンに染みていく。


「偉かったね。大丈夫、美樹ちゃんは何も悪いことしてないんだから。逆に、あんなヤツと別れられてラッキーだったんだよ。きっと、もっといい人が待ってるからね。たとえば俺とか。」
イイコイイコしてくれながら、そんな事を言うから、思わず。


「俊彰さんったら……」
泣き顔なのに、笑ってしまった。

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