金曜日の恋奏曲(ラプソディ)
私とりっちゃんは、全く同じだった。
強くなったり、弱くなったり。
それはどちらも、恋をしてるから。
私は箸を置いた。
近くで机を寄せあっていた集団から、一段と大きい笑い声が上がった。
周りが騒がしければ騒がしいほど、私の声はりっちゃんだけに届く。
図書室と、同じだ。
また、どこかが少し染みた気がした。
「…私も…ほんとにその通りだったよ。」
そう言うと、今度はりっちゃんが、相槌を打つ。
「でもね、先週りっちゃんに諭されて図書室行って、分かったんだ。」
強い気持ちが、私の胸に湧き上がる。
…りっちゃんの気持ちはすごく良く分かる。
…それなら、私の気持ちも、りっちゃんに分かってもらえるはずだ。
「どんなに、どんなに無駄だって分かってもね、自分を惨めに思ってもね…好きって気持ちは無くならない。」
例えばそれは、今だって、あの蛍光ペンの水色が私には眩しいってこと。
こんなにも強く、あなたに会いたいと願うこと。
無くならない。ちっとも、色あせない。
りっちゃんだって、そうでしょう…?
そう目線を投げかけたら、りっちゃんの瞳が小さく揺れた気がした。
「…何のために頑張ってるのか分からなくなるし、無傷ではいられないけど、それでも、頑張るしか無いのかなって。…好きだから。」
…自分自身に言い聞かせるように、そう言った。
まさか自分の口からこんな言葉が溢れてくるなんて。
少し前の私なら考えられない。
自分が一番自分に驚いてる。
でも不思議と…怖くはない。
……変われてるんだと、いいな。
りっちゃんは言った。
「…琴子、そんなこと言うようになったんだね。」
りっちゃんは、嬉しそうな、でもどこか寂しげな、あの目をしていた。
胸が詰まる。
りっちゃんも、箸を置いた。
「…あのね、私もあの日、二人が楽しそうにしてるの見て、力が抜けちゃったんだけどね。でも」
りっちゃんの目が、机の上を走る。
何かを探すように。
「でも、私が来たの分かったら、アイツが後輩に『俺が待ってたやつ来たから帰って』みたいなこと言って…分かってるんだ、きっと大した気持ちで言ったんじゃないそんなの。…でも、不覚にも…ドキッとしちゃって。」
…うん、うん分かる。
心の中で強く同意した。
別に、その後輩の子を帰らせる必要があるのかって言ったら、特に無いはずなんだ。
それでも帰らせるって…二人になりたいとか思ってくれてるのかなとか、都合のいい期待はいくらでも湧いてくる。
でも、相手がそんなつもりでは言ったんではないだろうとも思う。
…けど、そんなこと言われたら
「…あぁ好きだなって、また、思い知らされたんだ…。」
下を見たまま小さい声でそう言って、少し顔を赤らめるりっちゃんは、誰よりも、女の子だった。