音楽プレーヤー







可愛い声が聞こえた。

だけど俺の意識は、そこで途絶えた。





気がつくと俺は、ベッドに寝かされていた。

額には、冷えピタが貼られていた。

どこだ?と上手く働かない頭で考えていると。

静かにベッドを囲むカーテンが開いた。





「あっ。大丈夫ですか?」




ぱっと微笑んだ可愛い女の子。

――ずっと探していた、
瀬戸内 愛だった。





「瀬戸内、さん」


「えっ?あたしのこと知っているんですか?」




睡眠薬を大量に飲み、死亡した若い夫婦。

その間に生まれた息子は、両親によって売春行為をしていた。




俺の事件は大きく報道された。

だけどおじさんは、事件を内密にするよう動いてくれた。

今ではもう、覚えている人は皆無に近いだろう。




きっとこの子も、覚えていない。




――いや、俺の事件だけじゃない。

この子は何もかも、忘れてしまっている。





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