冷たいカレシ【ぎじプリ】
私は彼が好きなのよ。
冷たいし、たまに噛みついてくるけれど、とてもスマートに淡々と仕事をしている彼が大好き。
「そう言えば三上……大丈夫か?」
「何が?」
パソコンに残っていた、データフォルダを呼び出して、訂正箇所を直しながら、またちらっと彼を見た。
「午前中に、俺とぶつかって指先に怪我してたろ?」
言われて指先に貼ったバンドエイドを見下ろした。
触れた瞬間、彼のどこかに引っ掛かってしまった指先。
そんな怪我なんて大したことじゃない。
「……私が気を付けていれば良かっただけだから」
「お前はドジだからな。人よりも気を付けた方がいい」
淡々と言われた声音だけど、心配してくれてもいる言葉。
「心配してくれてありがとう……」
「馬鹿。心配したんじゃねえよ。気を付けろって言っただけだ」
そう言って不貞腐れた彼にくすっと笑う。
「訂正終了。印刷しなおしましたから。行くよー」
ワードを念のために保存して、立ち上がると、複合機から新しい書類を取り出して枚数確認。
それから彼を掴むと、書類を挟み込んで課長に持っていった。
「訂正いたしました」
「ああ、ありがとう」
課長の手に渡った書類には、キラリと銀色に光る彼。
たまに伸ばしちゃったりもするけれど、スマートでシンプルな彼が、私は一番大好きだ。
きじプリ
「クリップ」
2015/12/10 1時00分
冷たいし、たまに噛みついてくるけれど、とてもスマートに淡々と仕事をしている彼が大好き。
「そう言えば三上……大丈夫か?」
「何が?」
パソコンに残っていた、データフォルダを呼び出して、訂正箇所を直しながら、またちらっと彼を見た。
「午前中に、俺とぶつかって指先に怪我してたろ?」
言われて指先に貼ったバンドエイドを見下ろした。
触れた瞬間、彼のどこかに引っ掛かってしまった指先。
そんな怪我なんて大したことじゃない。
「……私が気を付けていれば良かっただけだから」
「お前はドジだからな。人よりも気を付けた方がいい」
淡々と言われた声音だけど、心配してくれてもいる言葉。
「心配してくれてありがとう……」
「馬鹿。心配したんじゃねえよ。気を付けろって言っただけだ」
そう言って不貞腐れた彼にくすっと笑う。
「訂正終了。印刷しなおしましたから。行くよー」
ワードを念のために保存して、立ち上がると、複合機から新しい書類を取り出して枚数確認。
それから彼を掴むと、書類を挟み込んで課長に持っていった。
「訂正いたしました」
「ああ、ありがとう」
課長の手に渡った書類には、キラリと銀色に光る彼。
たまに伸ばしちゃったりもするけれど、スマートでシンプルな彼が、私は一番大好きだ。
きじプリ
「クリップ」
2015/12/10 1時00分