キミに想いが届くまで。




「もう昔の俺とは別人と思え。
前と同じように関わってこられたら迷惑だ」



奏汰くんはそれだけ言うと、屋上を出て行った。


その場に残された私たちは、少しの間言葉も出ずにただ立ち尽くしていた。




転校生の三浦奏汰くんは、中学の時に私たちと一緒にいた三浦奏汰くん。


突然いなくなってしまった奏汰くんに、3年間会いたくて会いたくてたまらなかった。




夏休み明け、あの時の続きのようにやって来た奏汰くんは、もうあの時の奏汰くんじゃない。



奏汰くんなのに奏汰くんじゃないなんてそんなの……残酷すぎるよ。




私たちの思い出が何一つ残っていないなんて、悲しすぎるよ。





ねぇ、私はどうしたらいいのかな?



私の気持ちはどこにやればいいの?




奏汰くん……。




その場に座り込んで中学生の時の奏汰くんの笑顔を思い出すと、涙が溢れて胸が張り裂けそうなくらいに苦しくなった。





< 164 / 565 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop