キミに想いが届くまで。

もう一度初めから





屋上で泣き続けていると、完全下校のチャイムが鳴り響いた。


誰も一言も発することなく時間だけが過ぎていた。

絵梨ちゃんも順平くんも奏汰くんのことを整理しようと必死だったんだと思う。






「まさか奏汰がな……」



ポツリと呟いた順平くんの声は、感情が読み取れないほど力が入っていなかった。




「信じられないけど、嘘を言ってるようにも見えなかったしね」



絵梨ちゃんの言葉はもっともだ。


きっと奏汰くんの言ってることは事実。



奏汰くんは記憶を失っている。





「こうゆう時、どうすればいいんだろうな?」




普通なら記憶を無理に戻すようなことはしたらいけない、みたいなことをよく聞く。


でも、奏汰くんは記憶を失っていることは知っていて、それについて深く考えている様子もない。




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