キミに想いが届くまで。
「お、はよう!……三浦くん」
勇気を出して奏汰くんを真っ直ぐに見つめる。
ちゃんと笑顔で。
そう思っていても緊張してしまって表情が固まっているのが自分でも分かる。
けど目だけは逸らさないように。
それだけを意識する。
私の気持ちだけは伝わってほしいから。
「おはよ」
「はわわ……っ!」
ふっと表情を緩めて挨拶を返してもらえて、心の奥がぎゅうっと締め付けられる感覚になる。
いっきに血が巡って体中が熱くなる。
声にならない声が出て、そんな私の横を普通に通り過ぎる奏汰くん。
それでも私の鼓動は速まるばかり。
挨拶を返してもらえた……!
たったそれだけのこと。
でも私にとってはすごく幸せなことで。
「順平くん!!」
「おはよう、莉子。
良かったな」
「おはよう。
うん、嬉しい!」