キミに想いが届くまで。
しおりを開いていたページに挟もうと手を伸ばす。
けど、置いていた場所にしおりがない。
「あれ?しおりが……」
「あ、落ちてるぞ」
私の前の席に座った奏汰くんが体を折って、床に落ちていたしおりを拾ってくれた。
床に落ちてしまったからか、手でしおりの表面を払ってくれたところに細かい気配りを感じた。
「ありがとう」
お礼を言って、手のひらを奏汰くんに向けるけど、その手にしおりが戻ってくることはない。
不思議に思い奏汰くんを見つめると、しおりをじーっと眺めていた。
「三浦くん?」
声をかけると、ゆっくり私を見てからしおりを手のひらに置いてくれた。