キミに想いが届くまで。
目の前にはイタズラに笑う奏汰くんがいた。
「ふっ、まぬけ顔」
「え、あ、は、早いね?」
周りを見るとまだ数人しかいない。
奏汰くんはいつも始業ギリギリに来るのに。
「たまたま早く起きた。
そしたら朝から陰キャ発見した」
爽やかな笑顔でそんなことを言うから苦笑いを浮かべる。
否定はできないし。
「で、早く続き読めば?」
「そうだ、三浦くんに良いところで邪魔されたんだった」
「お前なぁ」
「だ、だって……」
本当に良いとこだったんだもん。
主人公の過去と今の事件がやっと繋がりそうだって時に。
でも、奏汰くんが私のところに来てくれたから、もう本の続きが気になるとかそんなこと考えてる場合じゃない。