キミに想いが届くまで。




かろうじて零れなかった涙を拭い、立ち上がれば順平くんが振り返る。


目が合った順平くんはいつもの笑顔を浮かべていた。





「莉子」



順平くんに名前を呼ばれると、なんだか元気になれるんだよ。


太陽みたいに温かい人。





「ちょっとは、オレのことも意識して。
それだけでいいから」




この笑顔を曇らせたくない。


ずっと笑っていてほしい。



そんなの都合のいい考えかもしれないけど、どうか願わせて。




コクリと頷いて、笑顔を向ける。


いろいろ複雑で難しいところだけど、やっと本音の部分を見せてくれたのが、素直に嬉しかった。




すごく、嬉しかったんだ。





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