キミに想いが届くまで。
「奏汰」
イヤホンを耳につけて、音楽を聴いている奏汰くんを呼ぶ。
チラッと視線を上げて順平くんを視界に入れてから、ゆっくりイヤホンを外して机の上に置いた。
「順平……」
「この前はごめん!
感情的になってお前を傷つけようとした。
本当にごめん!!」
深々と頭を下げた順平くんを見つめる。
手に汗握り、私まで緊張してしまう。
「……俺も悪かった。
ひどいこと言った。
順平が怒っても無理ないよな」
ははっと困ったように笑う奏汰くんには、反省している様子が見えた。
冷静になって、考えてみたのかもしれない。
もしかしたら、少しは伝わっていたのかもしれない。
思わず目頭が熱くなる。
順平くんも半泣きで、ニカッと笑っていた。
そのまま肩を組んで横揺れする順平くんに、奏汰くんは嫌そうに言葉を発するのに顔は笑っている。