キミに想いが届くまで。

新しい自分に




決めたなら、もう進むしかない。




絵梨ちゃんが泣き止むまで、ずっと抱きしめていた。


もうすぐ午後の授業も始まるから戻らないといけない。



「莉子、ありがとう。
落ち着いた」



目が赤くなった絵梨ちゃんは顔を洗って少し晴れやかになった顔を私に向けた。

それに微笑み返す。



「良かった」



心の底からの言葉に、絵梨ちゃんはまた笑ってから遠くを見据えるように前を見た。

昔を思い返すように。




「……あたし、ずっと順平のこと好きなんだ。
中学のころから」


「そうだったんだ……」



何も気づかなかった。

でも言われて思い返せば、絵梨ちゃんは順平くんとよく絡んでいたし、何となく理解できた。




「でもね、順平は莉子のこと好きだって知ってた。
相談もよく聞いてたし、まぁ順平が莉子を想ってるその純粋で真っ直ぐな気持ちに惹かれたんだと思う」



ゆっくり教室に戻りながら、絵梨ちゃんは初めて全てを打ち明けてくれた。


私が全く気づかなかったこと。


知らなかったことを。





< 333 / 565 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop