キミに想いが届くまで。
「無理に思いださなくていいよ」
「何でっ……!」
「私が全部覚えてるから。
三浦くんが忘れてしまっていても、全部全部私が」
「それじゃ嫌なんだよ。
ダメなんだよ……」
どうしてそんなに苦しんでいるのか分からない。
前は思いだしてほしいってずっと願ってた。
でもね、
「もう過去はいいの。
私は今の三浦くんと新しく思い出を作っていきたい。
過去は大切な記憶として、心にしまっておくの」
過去にとらわれるだけじゃ、そこで止まってしまうから。
私は中学の奏汰くんとの大切な日々を胸に、今の三浦くんとまた新しく大切な日々を作っていく。
「一緒に、歩んでよ。
私には今の三浦くんが必要だから」
「……うん」
奏汰くんに微笑みかけると、ぶっきらぼうに、でも頬を少し染めて頷いてくれた。
これからは愛しい記憶を胸に、新しく楽しい未来を描いていきたい。