キミに想いが届くまで。
行きたくない。
離れたくない。
莉子が会いたくなったら絶対すぐに会いに行く。
その約束は果たせない。
俺はすぐに会いに行くことができない。
莉子といたい。
そんな願いすら、今の俺には遠い彼方向こうの叶わない願い。
嫌だ。
順平や白石や莉子とまだ一緒にいたい。
俺だけその輪から出るのなんて嫌だ。
嫌だ嫌だ嫌だっ!
「ふっう……あぅ……」
顔を手で覆って、声を押し殺して泣いた。
俺は父さんの転勤が決まってから、この時初めて涙を流した。
行きたくない、行きたくない。
俺の願いは、真っ黒に塗りつぶされ儚く消えて、未来なんて見えなかった。