キミに想いが届くまで。
一生の後悔
「奏汰、送るから準備……はできてるな。
行くか」
「……うん」
昨日はあまり寝られなかった。
もしかしたら、これで会うのは最後かもしれない。
久しぶりに泣いたせいで目も重たい。
冷たい水で顔を洗って少しはスッキリしたけど。
車に乗り込み、生まれ育った町へ戻る。
ここに来ることはあるのだろうか。
もう2度と見られないのか。
大人になって帰ってきたとして、何の意味があるんだろうか。
今まで過ごしたこの町が、楽しい思い出でいっぱいのこの場所が。
今の俺にはつらくて仕方ない。
見ていられなくなり、目を逸らす。
白石との約束の時間より少し早くコンビニに着いた俺は、父さんにココアを買ってもらって一息つく。
父さんは気を遣って、すぐに車でどこかに行った。
「17時に前の家に来て。
明日は朝早いから」
俺にタイムリミットを告げて。