キミに想いが届くまで。




書くか迷ってそのまま置いていた封筒と便箋を開けた。




白色の角に小さな模様があるシンプルな便箋。


それを広げて、震える手を抑えボールペンを持つ。



視界が歪むのを指で目をこすり、クリアにする。




今日だけじゃ言えないことがあった。


面と向かってじゃ言えないことがあった。





また会えるのか、もう2度と会えないのか分からない。



それくらい遠い距離ができてしまう。




これからいろんな人に出会って、世界がどんどん広がっていく。



その中で俺は、転校した友達は何番目になるんだろうか。




お互いに知らない世界ができて、心まで離れてしまうんだろう。



そうなっていってしまうのなら、もう完全に心に距離を作ってしまいたい。



いつか『確かあんなやつがいたな』って過去にされてしまうくらいなら、最初から距離を。



だから残るものなんて作りたくなかった。




けど俺は、過去になったとしても、みんなに忘れてほしくないみたいだ。




それを証拠に1人ずつ顔を思い浮かべながら、文字を綴った。







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