キミに想いが届くまで。
だけど、しつこいそいつらを俺はなぜだか心の底から嫌いになることはできなかった。
「奏汰、オレのオススメのバンド聴けよ」
俺の気持ちなんておかまいなしにグイグイ近づいてくる順平。
「三浦、ラーメン食べに行かない?」
程よい距離感を保って、空気を読んでくれる白石。
だけどやっぱりあいつだけは。
「三浦くん……」
俺の名前を寂しげに呼ぶんだ。
むかつく。
きっと、1番腹立たしいのはあいつ、梅田が俺を呼ぶたびに胸の奥が苦しくなることだ。
何でこんな気持ちになるのかは分からない。
ただあいつの何かに心動かされる。
「三浦くんと1番仲が良い友達になる!」
そんな宣言をする梅田はなぜだか眩しくて、自然と頬が緩むのを感じた。
いつだって無意識に目が追ってしまう。
意識的に追わないようにしても、俺の目はあいつを追うようにできている。