キミに想いが届くまで。
困ったような表情をする担任は、落ち着かせようとしたのか私の隣に座ってくれた。
少しの間、そのままでいると奏汰くんのお父さんが空いてる方の隣に座る。
中学生のこと、何度か見たことはあったけどこんなに近くで見るのは初めて。
頬に伝う涙を拭い、それでも溢れる涙を見た奏汰くんのお父さんは優しく微笑んだ。
「莉子ちゃん、だね?」
突然名前を呼ばれ驚きながらも頷く。
それを確認した奏汰くんのお父さんは、やっぱり優しい笑顔を浮かべていた。
「奏汰と仲良くしてくれてありがとう」
やわらかい口調と笑顔は中学のころの奏汰くんとそっくりだった。
私は上手く言葉にできず、ただただ頷く。
「莉子ちゃんのことはよく覚えてるよ。
中学生の奏汰とも仲良くしてくれてたし。
順平くんも元気してるかな?
彼は奏汰の幼なじみだからね」