キミに想いが届くまで。



困ったような表情をする担任は、落ち着かせようとしたのか私の隣に座ってくれた。



少しの間、そのままでいると奏汰くんのお父さんが空いてる方の隣に座る。




中学生のこと、何度か見たことはあったけどこんなに近くで見るのは初めて。


頬に伝う涙を拭い、それでも溢れる涙を見た奏汰くんのお父さんは優しく微笑んだ。





「莉子ちゃん、だね?」



突然名前を呼ばれ驚きながらも頷く。


それを確認した奏汰くんのお父さんは、やっぱり優しい笑顔を浮かべていた。





「奏汰と仲良くしてくれてありがとう」



やわらかい口調と笑顔は中学のころの奏汰くんとそっくりだった。


私は上手く言葉にできず、ただただ頷く。





「莉子ちゃんのことはよく覚えてるよ。
中学生の奏汰とも仲良くしてくれてたし。
順平くんも元気してるかな?
彼は奏汰の幼なじみだからね」





< 495 / 565 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop