キミに想いが届くまで。
私の耳に当てるスマホに耳を寄せていた奏汰くんと、至近距離で視線がぶつかった。
ドキンっと心臓が跳ねるのを感じ、奏汰くんに目線で尋ねると伝わったのか頷いた。
いいよ。
と口がそう動いたのを見てから私は順平くんに居場所を伝えた。
「総合病院だよ」
『え?何で……』
驚いたような順平くんの声が遠ざかって聞こえなくなる。
見ると奏汰くんが私のスマホを耳に当てていて、私はすぐに耳を近づけた。
「俺、奏汰」
『奏汰!?
お前、大丈夫なのか!?
てか何で莉子と……』
「まだ授業終わってないだろ?
終わったらでいいから来て」
順平くんに病室を伝えてから返事を聞くことなく通話を切った。
奏汰くんは私にスマホを手渡す。
顔を見ると楽しげに口角を上げている奏汰くん。
さっきの口調とか雰囲気が前の奏汰くんで。
「悪趣味だよ」
「だって楽しいじゃん」