キミに想いが届くまで。
呼び方が変わるだけでこんなに距離が縮まった気がするなんて。
「じゃあ、そろそろ帰るわ」
「あ、うん……」
「また明日な、莉子」
帰ると言われて寂しくなったけど、奏汰くんの笑顔と呼ばれた名前に私も笑顔になった。
「またね、奏汰くん!」
私の言葉にニコッと微笑んでから、背を向けて歩き出した。
その背中をずっと見つめていると、チラッとこっちを振り返り手を振ってくれる。
私も手を振り返すと、また奏汰くんは歩き出す。
その背中を見えなくなるまで見送る。
胸が苦しくて、別れたばかりなのにもう会いたくなる。
昨日よりも今日、さっきよりも今。
奏汰くんに惹かれていくのを感じた。