あなたと恋の始め方②【シリーズ全完結】
「たいしたものではないですが、用意してます」


「マジで。楽しみ。すぐ顔を洗ってくる」


 小林さんはそう言ってバスルームの方に行く。少し寝癖のある髪が可愛いと思う。


「これ、美羽ちゃんが俺の為に?」


 小林さんがバスルームから戻ってくるのを見計らって、テーブルの上に朝ご飯を準備する。口に合うか分からないからドキドキする。でも、そんな心配も一瞬で吹き飛んだのは小林さんがとっても嬉しそうにダイニングの椅子に座ってくれたから。


 どこにでもあるような朝ご飯を一緒に手を合わせてから食べだした。私の予想を遥かに超える勢いで小林さんのお腹にご飯は消えていく。もう少しご飯を多く炊かないと足りなかったかと心配するくらいに小林さんは良く食べた。


 何度も美味しいと言ってくれるから、私も嬉しくなって、また作りたくなる。私はそんなに料理が上手ではないと思う。初心者レベル。だから、小林さんがどう思うか心配だった。私の好みの味と小林さんの好みの味は違うはず。お味噌汁とかそういうのもお互いに美味しいと思う味を探して行きたい。



 婚約という一つの形は…一つの通過点かもしれないけど、ただ思うのは一緒に笑っていたいと思うことだった。

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