俺様御曹司と蜜恋契約
「お前なぁ。うわっ、じゃなくてもう少し可愛げのある驚き方しろよ」

私の顔の横に両手を突き、葉山社長が顔を近付けてくる。

「なんの用事だか知らないけど今のお前は俺を優先させろ。取引忘れたのか?」

「…やめてください」

私に覆いかぶさったまま顔を徐々に近付けてくる葉山社長の体を手で押し返して抵抗するけれどびくともしない。すると片方の手が私の頬に触れるとそのまま親指で唇をそっとなぞられた。

「――っ」

くすぐったくて顔をそらせばまたすぐに戻されてしまう。

「責任とれよ、花」

葉山社長が低い声でそう告げる。

「お前のせいでマミを抱けなかったんだ」

「…………」

何のことを言っているの?
私のせいでマミさんを抱けなかったって……。

でもあのあと私は2人と別れたしそのあとにホテルへ行ったんでしょ?

私は関係ないはずなのに。

すぐにでもキスをされそうなくらいに顔を近付けながら葉山社長の親指は私の唇を撫でるだけ。

「もうキスもできねーよ」

ボソッと葉山社長が言葉を漏らしたときだった。


「失礼します」


コンコンと扉を叩く音が聞こえて、開いた扉から佐上さんが顔を覗かせる。

「社長、そろそろお時間で……」

変なところで言葉を切った佐上さんの眼鏡の奥の瞳が見開かれるのが分かった。ソファに押し倒されている私を目が合うと「お取込み中に失礼しました」とさっと視線を逸らしそのまま扉を閉めて外へ出た。

ち、違います、佐上さん!
何もお取込んでいませんから。
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