俺様御曹司と蜜恋契約
たぶん私がいままで陽太以外の異性の話を一切したことがなくて家にも連れてきたことがなかったから、私の彼氏として我が家に来た葉山社長の存在が母親は嬉しかったのだと思う。
葉山社長が私の本当の彼氏ではないので複雑な気持ちになってしまうけれど。かといって今さら全てを話すわけにもいかないし『枝山さん』の正体を葉山グループの社長だとバラすこともできない。
はぁ……と心の中だけで小さくため息をついたときだった。
「そうだわ!花ちゃん」
母親が突然なにかを思い出したように口を開いた。
「枝山さんに商店街を案内してあげたら?」
「えっ!?」
商店街を案内って…。
母親の提案に思い切り嫌な顔をしてみせたのだけれど、
「それいいですね。僕も花さんが育った商店街を見てみたいです」
葉山社長が乗り気になってしまう。
というかこの人自分の立場忘れてない?葉山社長は森堂商店街を再開発しようとしていた企業の社長。つまり敵なのに。そんな人を連れて商店街を歩けるわけがない。
「案内なんてしないからね」
「あらどうして?」
母親が不満気な顔を私に向ける。
どうしてと言われても。その人は『枝山』という名前でもなく私の彼氏でもない。うちの商店街を再開発しようとしていた葉山グループの社長なんだから。……なんて言えるわけもなくて。
「とにかく案内は絶対に――」
「よしっ。行こう」
案内は絶対にしないから、とはっきりそう言おうとした私の言葉は葉山社長によって遮られてしまった。立ち上がった葉山社長が私の方へ歩いて来るといきなり腕を掴まれる。
「ちょっ……え?」
「ほら行くぞ」
耳元で私だけに聞こえる声でそう告げると、そのままずるずると引きずられるようにして玄関へ連れて行かれてしまった。
本当にこの人はいつも私の気持ちも考えずに強引だ。
葉山社長が私の本当の彼氏ではないので複雑な気持ちになってしまうけれど。かといって今さら全てを話すわけにもいかないし『枝山さん』の正体を葉山グループの社長だとバラすこともできない。
はぁ……と心の中だけで小さくため息をついたときだった。
「そうだわ!花ちゃん」
母親が突然なにかを思い出したように口を開いた。
「枝山さんに商店街を案内してあげたら?」
「えっ!?」
商店街を案内って…。
母親の提案に思い切り嫌な顔をしてみせたのだけれど、
「それいいですね。僕も花さんが育った商店街を見てみたいです」
葉山社長が乗り気になってしまう。
というかこの人自分の立場忘れてない?葉山社長は森堂商店街を再開発しようとしていた企業の社長。つまり敵なのに。そんな人を連れて商店街を歩けるわけがない。
「案内なんてしないからね」
「あらどうして?」
母親が不満気な顔を私に向ける。
どうしてと言われても。その人は『枝山』という名前でもなく私の彼氏でもない。うちの商店街を再開発しようとしていた葉山グループの社長なんだから。……なんて言えるわけもなくて。
「とにかく案内は絶対に――」
「よしっ。行こう」
案内は絶対にしないから、とはっきりそう言おうとした私の言葉は葉山社長によって遮られてしまった。立ち上がった葉山社長が私の方へ歩いて来るといきなり腕を掴まれる。
「ちょっ……え?」
「ほら行くぞ」
耳元で私だけに聞こえる声でそう告げると、そのままずるずると引きずられるようにして玄関へ連れて行かれてしまった。
本当にこの人はいつも私の気持ちも考えずに強引だ。