怨み赤子
そこには


《入賞作品一覧
佳作;米田カナミ
作品名;『月の夜』》


と言う文字が乗っていたのだ。


「え、なにこれ!?」


カナミの名前が雑誌に載っている!


あたしは目を見開いて何度もその文章を読み直した。


「ユキにばれたら笑われると思ってずっと黙ってたんだけど……あたし、小説を書いて投稿してたの」


「小説を!?」


カナミへ視線を向けると、カナミの頬は赤くなり嬉しさで涙が滲んでいた。


「本気で書いてたんだね」


あたしはカナミの様子を見てすぐにそう理解した。


遊び半分で書いていただけなら、こんなに喜ぶこともないだろう。


「うん……」


カナミはそう言い、鼻水をすすりあげた。


「早く月乃に見てもらいたくて……」


「そっか。おめでとうカナミ」


カナミのひそやかな努力はちゃんと結ばれて結果に繋がったのだ。


それはあたしにとってもとても嬉しいことだった。

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