唯一愛した君へ




もう、ええよの意味が分からなくて…あたしは考えていた。




『……なんでそんなこというの……?』





シンは、答えてくれなかった。







『俺の話を聞いたら、優梨………別れよう』





静かな声が響いた。


その言葉の意味がまた分からなくて、頭がぼーっとした。





『わか、れる……?』



あたしのなんで?と訴える目を見て、シンは真剣な瞳をする。





『あいつのとこに行けるように』



今日のシンは、意味不明なことばかりだ…。




だって……




『シン?あたしは振られたんだよ?2年半前に。…もう、終わってるんだよ?』



あなたが1番近くで見ていたでしょう?

あたし一人の、片思いだったの。


どんなに探していても、
どんなに待っていても、
鷹巳が現れることはなかった。



…全部知ってるでしょう?





『…終わってないで。

2年前のこと、全部話すわ』





痛烈なほど、張り詰めた空気。



それはあたしが、知ることのなかったことだった……。






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