唯一愛した君へ
だから俺には…鷹巳の気持ちも、わかるような気がする。
小さな正方形の箱みたいな部屋に入って来た鷹巳は、
……俺の顔を見た瞬間、殺気立った。
『…安心しろ。ただ話をしに来ただけだ』
なかなかパイプイスに座ろうとせず、警戒している鷹巳にそう声を掛けた。
警戒しながらも、ガタンッとパイプイスを引いて、乱暴に座った。
透明な窓ガラスみたいなので、俺らの間は仕切られてる。
その向こうから、鷹巳は鋭く俺を睨んでくる。
『何の用だよ?…俺はもう関係ねぇ』
表情は無表情のまま、呟いた。
俺が、族絡みの話をしにきたと思っているみたいだ。
当然だ。
鷹巳は俺と優梨が付き合っていることを知らない。
『鈴木優梨のことでもか?』
言葉の駆け引きなんかしてられない。制限時間は5分だ。俺は直球勝負に出た。
“優梨”
その名前を出した瞬間、無表情だった鷹巳がピクッと反応し、眉間を寄せる。
そして、さっきとは比べものにならない位俺に凄んで来た。