唯一愛した君へ



『…最近、梶貴鷹巳について噂が流れたらしいの。と、言っても一部の幹部の間だけとか極小範囲でだけど……。あたしはその噂を少しだけ聞いたの』



『――ここ何ヶ月か、時々集会に顔を出さないことがあった、ってね』



それから…と由美子は続けた。



『――何度か、幹部の一人が女と歩いているところを見た、って。しかも同じ女だったらしい。…でもこれはすぐに消えた。信憑性は0だったし、梶貴鷹巳は昔から女と遊ぶことはしょっちゅうだったらしいからね』



夢の中に戻りたいんだ。
だから醒めたくはなかった。


ごく簡単に崩れてしまう。あっけなく、音もなく。



『――優梨、あんただったんだね…』



今まで天井に向けていた視線を、真っ直ぐあたしに向けた。それは痛いほどの強い視線だった。そして、悲しげだった…。



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