COLORS
3rd 坂下 良
昼休みになり、ふと、心が緩んだ隙に、教室にいたはずの、すみれの姿を、見失った。
俺は、教室を飛び出し、すみれを探して中庭まで来た、その時、嗅ぎ慣れた香水の匂いに気づいて、
「すみれ」
声をかけると、
「え?」
振り返ったのは、同じクラスの、後藤ゆり、だった。
「ああ、ごめん。すみれと同じ匂いがしたから」
「そっか、香水。流行ってるからね、前原さんも同じの使ってるんだ」
「Sweetie Sweetie Sweetie」
「そう、それ……っていうか、また、前原さんを探してるの?」
「うん……」
「前原さんなら、F組の子と購買に行ったみたいだよ」
「そう、それなら、安心した」
ほっと溜め息をついて、中庭のベンチに座っていた後藤の隣に腰をかける。
「この前は、ありがとな。助かったよ」
「べつに、君たちのためじゃないし。あの不良教師がさらなる罪を増やさないようにってだけだから」
「そっか、でも、救われたのは事実。だから、やっぱり、ありがと」
頭上には、青い空。
「いい天気だなぁ……」
清々しい景色に、笑みを向ける。
「……ねぇ、あれから、前原さんとはどうしてるの?」
「仲良くしてるよ」
そう答えて、後藤が言わんとしていることを察して、続ける。
「あれは未遂で終わったんだし、問題にならないことを問題にするべきじゃないだろ」
「大切に想ってるんだね、前原さんのこと」
「当たり前」
「そっか」
「……未遂だったけど、すみれの“心”は、傷ついた。あんなこと、二度と繰り返したくないから、俺、もっと、しっかりしなきゃって、すみれは、絶対、俺が護るって、そう決めた、ずっと、すみれの隣で……」
そう断言しながら、俺は、語気を弱める。
「どうした?」
「上野とのことは、もういいんだ、それよりも……気になってることがあって」
「何……」
「……すみれの進路だよ」
「うわぁ、高三らしい!!」
「すみれは、頭がいいんだよ。すみれがこの学校を受験するって聞いて、俺、死に物狂いで勉強したよ。高校も一緒に通いたかったからさ」
「そうだったんだ。私は、スポーツ推薦で入ったから、よくわかんないけど」
「俺、大学も、すみれと一緒に通いたくて……」
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