【短】あたしを姫と呼ばないで!?
そろりそろりとドアの方へと逃げる。
が、そう簡単に逃げられたら苦労はしない。
「鍵かけたの、ことりだよね?
忘れてた?」
「……いえ、まさか」
ドアの前で固まるあたしと、そんなあたしに壁ドンをしているコノハ。
逃げ場は、ない──
扉を挟んだ向こう側には女の子と生徒会メンバー。
後ろはコノハ。
どちらがマシかと聞かれれば、まだ一対一で対応できるコノハの方。
「ねぇ、コノハ。
あたしのチョコ、欲しい?」
「欲しい以外の答えはないけど?」
「ですよねー
ならここでひとつお願いです!
……いい?」
「内容によるけどね」
「チョコをあげる代わりに生徒会メンバーを足止めして!」
「……それくらいならいいよ」
「ありがとう!」
助かったとばかりにいそいそとチョコをかばんの中から取り出す。
かわいらしくラッピングしたブルーの袋を渡す。
中にはチョコのカップケーキを2つ入れていた。
「これ、コノハの分だよ」
「ありがとう。
でもちょっと残念だったな〜
……ところでことりの本命は?」
「言わなきゃ、ダメ?」
「うん。
誰かはまだ分からないけど、きっとあの生徒会の中の誰かでしょ?」
そこまでバレてたかと驚き、目を見開く。
「あの、教えてもいいけど、渡すのに協力してくれる?」
「もちろん!
妹みたいに大切なことりが選ぶ人だもの。
邪魔はしないよ?」
「あのね、あたしの好きな人は──」
コノハの耳元でささやけば、あたしの想い人が意外だったらしく、柄にもなく驚いていた。