君の隣でクリスマスを祝う

理由

 イブの朝、急に打ち合わせが入り出社しなければならなくなった私は、会社近くのカフェで日向と待ち合わせた。用件を済ませ、早足でカフェへと向かう。

 日向は店の前に一人佇み、夕刻まで灯りの入らないイルミネーションをぼんやりと眺めていた。鈍色の空から、時折粉雪が舞う。


 心ここに在らず――

 こんな日向を見るのは初めてだった。彼は歩み寄る私の足音にも、気づく気配もない。


「先生?」

 日向は私を見つけると笑顔を見せた。吐く息が白い。

「すみません、待たせてしまいました?」

「いえ、僕も来たばかりですから」


「本当に?」


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