アラビアンナイトの王子様 〜冷酷上司の千夜一夜物語〜
「本当ですよ。
 試しに、一週間、様子をご覧ください。

 この件が周りにバレることなんてないですよ」

「あんな誰に見られるのかわからない場所でキスしてるようじゃ、俺たち以外に気づいてる奴も居そうだが」

 それにしても、とソファに腰掛けながら、遥人は言う。

「お前と会ってから、ずっと、なんだ? どうした? と訊いている気がするんだが。
 お前、無言で顔で訴えてくることが多いんだな」

 語れ、とおのれのことをたいして語ってくれそうにもない男が言う。

「話すの苦手なんですよ」

「……よく言ったな、その台詞。
 出会ってから、ずっと、ペラペラしゃべっている気がするのは気のせいか」

「それは緊張のあまりです」

 その言葉をまるで信じていないらしい遥人が訊いてくる。

「ところで、なんで突っ立ってるんだ?」

「ああ、すみません。
 何処に腰を下ろしたものかと」
と言い、遥人から離れた一人がけの椅子に座ろうとすると、

「何故、そっちに行く」
と言われた。

 いや〜、なんとなく、と苦笑いしていると、遥人は、自分の側を叩いて、
「此処に座れ」
と言う。

 いや、勘弁してください、と思った。
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