好きっぽい★
あたしは目を丸くして驚く。


「そっ、そんなわけないですよ! ありえませんよ! だってそれに……」


「ん?」


「カジ君、トンネルに向かって彼女さんの名前呼んでたじゃないですか……。ラブラブじゃないですか。ふたりの間にあたしが入り込む隙間なんてないですよ……」


「ああ、あれね……」


なぜか大野先輩はプッと吹きだした。


「何がおかしいんですか?」


「いや、ごめんごめん。その件も含めてさ。とにかくカジともう一度話し合ってきなよ」


そう言ってポンポンとあたしの頭をなでる。




大野先輩の言葉はとても信じられなかったけど。

たしかに、カジ君の気持ちをはっきり聞いたわけではない。

フラれるにしても、ちゃんと言われた方がいいのかもしれない。

その方がすっぱり諦めがつく。

あたしは大野先輩と別れて、カジ君の家に向かった。


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