好きっぽい★
「そゆこと」


カジ君はハッて息を吐き出した。


「あいつ、ほんと中途半端なままいなくなったからさ、とりあえずサークルはちゃんとまとまるまで……って思って代表を引き受けてたんだ。エリさんのことは、なぐさめてたっていうか。兄貴がいなくなって、すげー落ち込んでたからさ。オレで役に立てるなら……って思って、エリさんの傷が癒えるまでは兄貴の代わりにそばにいるつもりだった」


「それで……彼氏役やってたんですか?」


あたしの疑問にカジ君はハッとしたような表情をして顔を上げる。


「あ! いっとくけど、この2年間、1回も手ぇ出してねぇし」


あまりにも慌てて言うから、あたしは思わず吹きだしてしまった。


「ほんとですかぁ?」


わざと意地悪っぽく言った。

だって、焦る姿が余計に怪しい気がしたんだもん。


「マジだって」


「ウソ」


「は?」


「だって、あたしにはすぐに手だそうとしたもん!」
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