不機嫌な恋なら、先生と
おまけ~バレンタインの夜に~

今日はバレンタイン。

先生はチョコは苦手だと言ったけど、食べれないことはないらいしい。思えば、私が先生に昔あげたチョコも無理して食べてくれたっけ。

今年はリサーチする時間を持てなくて、クリスマスに先生が食べていたからという理由だけで、チーズケーキになってしまった。

来年はちゃんと先生の好きなものをあげれたらいいなと未来のことを考えれる自分がいることがすごく幸せだと思った。

「ラッピング、オッケー」

鏡の前で、メイクや髪型の最終チェックを行う。少しは、可愛く見てもらえたら、嬉しいな。

遙汰くんは、友人の家に行ってるらしく、今日は先生の家で正真正銘の二人きりだ。

そして、初めてお泊りをする。

想像するだけで、心臓がバクバクする。手と足を一緒に出して行進する子供の気持ちが今なら分かると言いたいくらい、緊張していた。何もないかもしれない、だけど、あるかもしれない……。

「余計なことは考えないようにしよう」

独り言を呟いて、ファーと鞄、それにチーズケーキの包みを手にし外へ出た。空気は冷たいけど、差し伸べた手のような光が暖かい。

紙袋を抱えた女の子とすれ違って、頑張ってねと心の中で応援した。
< 260 / 267 >

この作品をシェア

pagetop