不機嫌な恋なら、先生と

夕食の片付けを終え、お腹も落ち着いてきた頃を見計らって、先生に「チーズケーキ焼いてきたんだ」と手渡した。

受けとると、先生は「開けていい?」と訊いた。

「今、食べるの?」

「ダメ?」

「いいけど」

コーヒーを淹れて戻ると、先生はもう広げていて、「一緒に食べよう」と誘う。

「先生、本当は甘いの全般的にダメなの?」

「ダメじゃないよ。いっぱい食べれないだけ」

先生はダメとか出来ないという言葉が嫌いな人のように思えて、なんだかおかしくて笑いが零れた。

「食べさせてあげる?」と、急に熱っぽい眼差しを向けるから、ドキンとした。一緒に生チョコを作ったときのことを思い出し、恥ずかしさでいっぱいになる。

クククと肩を揺らして笑うから、からかわれたと気づき、「ケーキで遊ぶなら、没収します」と包みごとテーブルから奪った。
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