イブにあいましょう
「それより。おまえこそ何で俺を競り落とした」
「え?なんでって・・・」
「おまえには彼がいるだろ」
「は?誰」
「空港に迎えに来てたやつ」
「あっ、ああぁ。矢野君?彼は私のアシスタントだよ?って、仕事のだよ!プライベートでも仲良くしてる方かもしれないし、そういう男友達はいるけど、私、つき合ってる彼はいないから」

必死に「恋人いませーん!」と、紀章さんにアピールしてるみたいな今の自分が、恥ずかしいと思ったけど、ムッとした表情のまま、「あ、そう」と言った紀章さんの声は、何となくホッとしているように響いた気がしたので、私もホッとした。

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