御曹司と溺甘ルームシェア
あの時は今よりもっと深刻だったかもしれない。嫌な雨が降っていた。

あの日、俺達はオリエンテーリングをしていて、地図を片手に班に分かれてポイントを探していた。

だが、雨足が強くなってきて、宿泊所に戻ろうとすると、三枝ともう一人の女子が息急ききってやってきて俺達に助けを求めた。

「寧々の友達の三枝が慌てた様子で『寧々』を助けてって言ってきて、響人が真っ先に寧々を助けに向かったよな。お前さあ、ひょっとしてあの頃から寧々が好きだったのか?」

「……そうかもしれないな」

つい最近まで自覚してなかったが、俺は寧々の姿をいつも目で追っていたように思う。

いつも寧々の我が儘ぶりを笑って見ていたが、あのサマーキャンプの日は違った。

目の前が真っ暗になるような衝撃。そして、初めて知る恐怖。自分が危機に陥ってる方がよっぽどマシだった。あんな寧々は見たくなかったんだ。
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