御曹司と溺甘ルームシェア
『冷泉の奴、今度あったらもう悪さできないようにあの口を針でチクチク縫い付けてやる』

私は親指の爪を強く噛んだ。

なんでキスなんてしたのよ!バカにするにも程がある。

あんな形でファーストキスを奪われるとは思ってみなかった。

そう……二十八にして初めてのキス。

恥ずかしくて言えないけど、それを知ったら私の事を嘲笑うに違いない。

私だってこの容姿だし、それなりにモテた。でも、この体質のせいで付き合う事は出来なかった。

だから、男なんていらないって思うことにして、自分のプライドを守ってきたのに……。

ああ~悔しい!全部、全部、冷泉のせいだ。

私のこの体質も……このじんましんも。

『ああ……もう!冷泉なんか死んじゃえ!』

髪をかきむしりながら悪態をついた。

『自業自得だろ?確かに響人もちょっとやり過ぎたかもしれねえが、寧々があいつの悪口言うからだ。陰口叩くならもっと声を潜めろよ』
< 23 / 247 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop