御曹司と溺甘ルームシェア
あー、やめた、やめた。

私はこんな仕事、承知した覚えはない。

作業を中断して近くにあったパイプ椅子に腰かけた。

ヒールの靴に作業着。なんて無様な姿なの?

こんな姿、知人には見られたくない。

手もカサカサだし……。

あ~ハンドクリーム塗りたい。こんな事してたら手が荒れるし、マニキュアだって剥がれる。

カサカサになった手を眺めていると、金髪男がギロリと私を睨んだ。

「お前、ちゃんと仕事しろよ。まだ一時間も仕事してないぞ」

「嫌よ、手が荒れるもの」

私は目を細めて金髪男を見ると、彼を軽くあしらった。

「はあ?ふざけんなよ!」

声を荒げる金髪男を高木さんが穏やかな声で諭す。

「翔君、いけませんよ。今は業務中です。そんな大声を出したらみんなビックリしますよ」

金髪男はハッとした表情になり、ののちゃんに目をやる。
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