御曹司と溺甘ルームシェア
冷泉が私を見てニヤリと笑う。

「誰が待つか!岡田が迎えに来るんでしょ!早く行きなさいよ!」

「お腹が空いたら冷蔵庫の中のもの、適当に調理して食べろよ」

そう言い残すと、冷泉は部屋を後にした。

「私……完全に冷泉に遊ばれてるな」

ひとりになった部屋でポツリと呟くと、置いてある段ボールの箱をいくつか開けてみる。

父が家政婦さんに頼んだのか、ちゃんと洋服や下着は分類されていた。

だが、これだけの荷物、どう片付けて良いのかわからない。

衣類の山に囲まれ、途方にくれているとギュルルとお腹が鳴った。

「そう言えばお昼、ちょっとしか食べてないのよね」

部屋を出てキョロキョロとキッチンを探して回る。

七LDKか八LDKかな。

トイレとお風呂は二つずつあるのに、ゲスルームがないっておかしくない?

ベッドがあるのは本当に冷泉の寝室だけだった。

冷泉の寝室と書斎、リビングダイニングルーム以外には家具はほとんど置いてなくてガランとしてる。まるで引っ越してきたばかりのような家。
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