御曹司と溺甘ルームシェア
あと気になったのは、ひとつだけ鍵のかかってる部屋があったんだよね。

書斎には鍵がかかってなかったのに……。物置にでもしてるのかな?

キッチンを見つけ冷蔵庫を開けるが、私が調理出来るようなものは何もない。

ダイニングテーブルを見れば、リンゴとバナナが置いてあって、私は美味しそうなリンゴを手に取った。

前に包丁握ったのいつだっけ?高校の家庭科の授業以来じゃない?

料理はいつも家政婦さんが作ってくれたし、料理なんてした事ない。

リンゴの皮……剥ける気がしないな。

ハーッと深い溜め息をつくと、リンゴをテーブルに戻しバナナを手に取った。

「バナナって気分じゃないけど……」

仕方なくバナナの皮を剥いて口に運ぶ。

今の自分がすごく惨めに感じた。

「私って……何にも出来ないんだ」

今まで何やってたんだろう。

食材が一杯あるのに、調理が出来なくてバナナしか食べられない。
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