クールな社長の甘く危険な独占愛
革張りのシートに座ると、馴染みがなさすぎる車内に、慌てている自分がいる。
「えっと…」
つい会社モードを忘れて、素に戻ってしまった。
社長の視線が痛い。
助手席からアワアワしている自分をみている。
「ついでに言うと、マニュアル」
社長が言った。
さつきの思考が停止した。
「わかった。俺が運転する」
社長は軽くため息をつくと、手で降りろと合図した。
「長尾、これからの予定は?」
車を降りて座席を交換しながら、社長が尋ねた。
「特には……」
「じゃあ、送ってやる。どこ住んでる?」
社長にそう聞かれて、さつきは「あ、知らないんだ」と思った。
知られないままの方がいいけれど……。
「社宅です」
さつきは馬鹿正直にそう答えてしまった。
「隣の部屋か?」
社長が驚いたような声をだした。
「はい」
「……おまえだったか。誰かいるなとは思ってんだけど」
エンジンをかける。
さつきは「やっぱり言わなきゃよかったかな」と思った。
すべては後のまつりだけれど。