クールな社長の甘く危険な独占愛

地下駐車場に、BMWの低いエンジン音が反響している。

さつきは車に駆け寄ると「お待たせしました」と頭を下げた。

「乗れ」
まだ社長モードの和茂が、指で合図する。
さつきは覚悟を決めて、車の助手席に乗った。

車が地上へと出て行く。
夜空にまん丸の月が見えた。

「あの……社長」
「なんだ?」

先日車を運転しているときとはどこか違う。
あ、そうか。寝癖がないんだ。

「送っていただけるのはありがたいのですが、あの……」
「迷惑?」

社長の瞳がちらっとさつきを見ると、どういう訳だか脈が早まってきた。

「いえ、そんな訳じゃ……交通費もいただいてますし」
さつきが言うと、社長が笑う。「本当に、顔にでるやつだな」

さつきは気まずくなってうつむく。
それから勇気を出して「あの……以前通りにしていただきたいんです」と言った。

「……ふうん」
社長が考えるように言う。「困ってる?」

「はい」
さつきは申し訳なさそうな声で、小さくうなづいた。

「なるほど」
社長はそう言って黙る。

「もっと、社長にお似合いの、綺麗で魅力的な女性はたくさんいますし、そういう方はきっと、社長とキスしたいって思うんじゃないかと……」

言っていて「支離滅裂だわ」と思ったが、とりあえずもうちょっかいは出さないでほしい、その一心で口から言葉が出た。
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