クールな社長の甘く危険な独占愛
社宅につくと、案外あっさりと「じゃあ」と言って、社長は自分の部屋へと入っていった。
さつきは心底ホッとする。
今夜はこれで自由だ。
玄関を入ってすぐ右の引き戸をあけて、洗面所の電気をつける。
『メガネがでかすぎる』
さつきは鏡に顔を近づけた。
そんなにメガネ、おかしいかしら。
メガネを外し、化粧落としを使う。さっぱり、ツルツルになった肌を手で触ると、生き返った気がした。
ブルーのトレーナーに、部屋着のロングスカート。冷え性対策の靴下を履いて、さて夕飯はどうしようと考えていると、玄関から「ピンポーン」とチャイムが聞こえてきた。
さつきは冷蔵庫の前で、動きを止めた。
まさか……。
玄関を開けると、グレーのフード付きパーカーと、ジャージを着た社長が「飯、食いにいくぞ」と立っていた。
「社長……わたし、もうご飯を作り始めていて」
本当はまだ何にもしていなかったけど、とにかく社長と二人きりでどこかにいくのは避けたい。
「じゃあ、部屋でご馳走になるかな」
ビニールサンダルを脱いで、玄関に上がろうとするのを、さつきは「やややや、そ、外に行きますから」と必死に止めた。
「じゃあ、行くぞ」
ジャージに両手を入れて、もう一分一秒待てないというポーズ。
さつきは仕方なく、玄関にあったカバンをとり、スニーカーを履いた。