クールな社長の甘く危険な独占愛

「キスだけじゃありません!」
昌隆が大声で叫んだ。

さつきが「あっ」と小さな声を出す。

「彼女が東京に行く前夜。身も心も全部僕に預けてくれました。だから僕は……」
昌隆が口をつぐんだ。

理解するのに、少し時間がかかる。
こいつに、さつきが、身も心も預けた……?

気づくと、昌隆の胸ぐらを掴んでいた。

「社長っ!」
さつきが悲鳴をあげた。

「殴ればいいじゃないか? 悔しいんだろ?」
昌隆が顔を真っ赤にして怒鳴る。

「彼女はお前のおもちゃなんかじゃない。もうとっくに俺のものなんだ!」

昌隆の顎を思い切り殴りつけた。

エントランスの石の床に、すごい音を立てて昌隆が叩きつけられる。

「昌隆くんっ」
さつきが昌隆に走り寄る。

和茂は訳が分からず、殴った自分の拳を見た。

あれ?
なんで、俺、殴っちゃったんだ?

痛みが後からやってくる。拳がジンジンと脈打ち始めた。

『すぐ暴力に訴えて、ガキだな』とか言ってたのに……。
俺が殴っちゃった。

あれ?

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