彼は黒で彼女は白〜俺様社長の甘い罠〜
雪の部屋のドアの前、やっぱり止めた方がよかったかな?なんて一瞬躊躇った雪だったが、ここまで来て追い返すわけにもいかず、琉偉を招き入れた。

雪の部屋は、白を基調とした部屋。置いてる物も白が多い。たまにはピンクなどもあるが、雪は白と言う色が好きだった。

「…苗字も名前も、この部屋も・・・白井さんは白が好きなの?」

琉偉の言葉に、雪は笑って頷く。

「困った事にそうなんです。白が好きで、どんな雑貨も、タンスとか服も、ほとんど白が多いです。流石にスーツはグレーとか、黒とか落ち着いた色にしてますけど」

そう言って肩をすくめる雪を見て琉偉は笑った。

小さなソファーに琉偉を座るよう促した雪は、キッチンでお茶を入れると、琉偉に出し、またキッチンに行き、お昼の準備を始める。

「白井さんの名前は、誰が決めたの?」
「…両親です。私、12月25日が誕生日なんですけど、その日が大雪で、そんな時に産まれた私が、これまた白い肌の赤ちゃんで珍しいくて、雪って、名前を付けたそうですよ。ありきたりで、私はもっと違う名前がよかったんですけど」

そう言って苦笑する雪を見て、琉偉は首を振った。

「いい名前だよ。白井さんにピッタリだ」
「ありがとうございます」

いつの間にか並べられた料理を見て、琉偉は、目を輝かせた。

「食べてもいい?」
「どうぞ。お口に合うかわかりませんが」

その言葉を合図に、琉偉は食べ始めた。

特に、黒豆が気に入った様子。

黒豆は、雪が母から教わって、特に得意な料理だ。何日も前から、時間がある時に、煮込んだもの。

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