彼は黒で彼女は白〜俺様社長の甘い罠〜
食事をしながら、琉偉は雪に、北海道の話や、両親、弟や妹の話しを聞いて、終始楽しそうだった。

その後は、食後のコーヒーを飲みながら、二人でまったりする。

「…白井さん」
「…はい?」

コーヒーのカップをテーブルに置いて改まった琉偉を見て、雪も思わず姿勢を正した。

「…まだ新年が明けたばかりなんだけど、一つ約束してくれないか?」
「約束、ですか?」

「…あぁ、…せっかくのクリスマスの夜、しかも白井さんの誕生日なんて知らなかったんだけど、君は、ひとりで独りで泣いてた」

「…」

「今年のクリスマスは、俺に祝わせてくれないか?」

「…琉偉、さん」

少し潤んだ瞳で琉偉を見つめる。そんな雪を、琉偉は優しい眼差しで見つめ返す。

「…でも、それまでに、もし、白井さんに大事な人が出来た時は、この約束は守らなくていいから」

『約束』なんて、堅苦しい物だけど、琉偉はそれが重荷にならないように、そんな事を言ってくれる。

「…そのままその言葉、お返しします」
「…え?」

「…琉偉さんに、大事な人が出来た時は、その約束は、守らなくていいですから」

「…そろそろ帰るよ。今日は凄く楽しかった」
「…私もです。誰かと一緒のお正月が、こんなに楽しいものだって久しぶりに感じました」

『来年は年越しも過ごそう』

琉偉はそう言いたかっが、ぐっとその言葉を飲み込んだ。
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