彼は黒で彼女は白〜俺様社長の甘い罠〜
それからの雪は、義人の事を考えないように仕事に没頭した。お昼もとらず、ただ仕事に集中した。

午後3時、麻美が同行から帰って来た。

「…雪どうしたの、そんなに怖い顔して」
「…え?お帰り。どうもしないよ。常務宛の連絡は特に無かったから」
「そう、ありがとね」

麻美の顔を見て、気が抜けたのか、雪のお腹が鳴った。

「雪、お昼食べなかったの?」
「え?あー、うん」

「しょうがないなぁ。ほら、これあげる」

クスクスと笑いながら、麻美はカバンからカロリーメイトを出し、雪に渡す。雪は苦笑してそれを受け取ると、冷めてしまったコーヒーを飲みながら、それを食べた。

「生き返ったー」
「ハハ、大袈裟ね…ねぇ、やっぱりなんかあったでしょう?」

「…」
「まだ社長帰って来ないし、話しなよ」

麻美の言葉に頷いて、雪は、義人の事を話した。

麻美も、SKファンドのCEOと聞かされて、目を見開いていた。驚くなという方が無理な話だ。
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