魔女の森



そんな中、
一方の軍の先頭にはまだ二十程に見える若い娘が立っていた。

彼女は白いワンピースに黒い 外套を羽織り、手には一方の先端が渦を巻くように曲がった自身の背丈ほどもある古びた棒を握り、長く黒い髪を風になびかせ、赤い瞳で真っ直ぐ前を見据えていた。

そんな彼女にひとりの青年が束ねた白髪を風になびかせながら近づいて行く。


「フィー」


青年は親しげに愛称でそう呼びかけた。


「時雨」


それに答えるように振り返った彼女は青年の名を口にした。


「今確認できた。
••••フィーの予想通りだ。やはりあいつらは•••」


険しい表情を見せる青年に対し、彼女は冷静さを保ちながら、それでいて少しばかり悲痛を感じさせる声色で


「そう•••」


一言そう呟くだけだった。


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