二十年目の初恋
ずっと 4

「そういえばパソコン出てるけどネットに繋がったの?」

「うん。なんとかね。ブログでも始めようかと思って」

「へぇ、優華がブログ?」

「悠介が仕事で遅くなっても退屈しなくていいでしょう?」

「そうだな。優華が楽しいと思うことなら、いいんじゃないかな」

「でもね。何を書いたらいいと思う?」

「優華、小学校の頃から作文は得意だったから何でも書けるだろう?」

「何でもって訳にはいかないと思うけど……。何かテーマを決めないといけないみたいだし。私に書けるのは料理とか普通にその日の出来事とか」

「う~ん、じゃあ俺たちのことは?」

「何を書くの?」

「小説風に優華と俺のことを赤裸々に書くっていうのは?」

「悠介がしたこと言ったこと全部書くの?」

「いや、やっぱり駄目だな……」

「でしょう?」

 二人で顔を見合わせて笑った。最後のお皿も片付けてキッチン後片付け終了。二人でソファーに座って

「ここのサイトなんか綺麗でいいかなって思うんだけど」

「へぇ、みんな凄いんだな……」

「読んでみると面白くて結構ハマルワヨ」

「優華、デジカメあるの?」

「うん。仕事で副学長の講演会なんかの記録用に写真撮ってたから」

「だったら何って決めないで、その日の一枚の写真とコメント載せたりすれば? 散歩した景色とか料理の写真載せて……」

「そうね。何か一つに決めると後が続かないかも」

「はい。そうと決まったらシャワータイム」

 この二人でシャワーはずっと続いてる。髪も乾かして出て来たら外は雨。雷まで鳴っているみたい。雨はどんどん強くなってきてベランダを叩き付けてる。

「凄い雨だな。台風みたいだよ」

 その時、昼間かと思う程、明るいピンクに空が染まって凄い雷鳴と地響き。

「きゃっ!」
 思わず悠介に抱き付いた。

「なんだ。優華、雷、怖いのか?」

「そんなことないけど凄かったから、びっくりしただけ」

「強がらなくてもいいよ。さっきの空、綺麗なピンクだったのに」

 そう言って笑いながら、でもしっかり抱きしめてくれた。やっぱり悠介の胸は温かい……。怖い物なんて無くなっていく気がする。

 誓って言いますが私、雷は怖くないですよ。
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